脳性麻痺、ヒロヤスの電動車椅子の体験談。

脳性麻痺電動車椅子の選び方について 脳性まひ

僕は脳性麻痺の障害を持っており、普段の生活では電動車椅子を使って移動しています。初めて電動車椅子に乗ったのは、特別支援学校(当時の養護学校)の中学1年生の時でした。それまでは歩行器を使っていましたが、「もっと移動をスムーズにしたい」「もっと自分の力で外の世界に出ていきたい」という強い思いから、電動車椅子の世界に飛び込みました。

あれから多くの月日が流れ、これまでにいくつかの種類の電動車椅子を経験してきました。実は、一時期は「もっと快適になるはず」と大きな電動車椅子に乗り換えたものの、最終的にはまた別のタイプに戻したという、僕なりの「試行錯誤の歴史」があります。

今回の記事では、僕が実際に体験した「簡易型電動車椅子」と「大型電動車椅子」それぞれのメリット・デメリット、そして実体験から学んだ「本当に自分に合った車椅子の選び方」について、詳しくお話ししたいと思います。このブログのアイキャッチ画像はGoogleのGemimiを使用しております。

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脳性麻痺(まひ)のぼくがなぜ歩行器から電動車椅子を選んだのか?

電動車椅子の具体的な話に入る前に、脳性麻痺(まひ)ぼくヒロヤスがなぜ歩行器から電動車椅子を選んのかのステップアップを決めたのかについて、少しお話しさせてください。

最大の理由は、「転倒するリスクを避け、安全に移動したかったから」です。歩行器での移動は、自分の足で一歩一歩進む充実感がある反面、路面の小さなでこぼこや体調の変化によって、どうしてもバランスを崩して転んでしまう危険がつきまといます。その点、しっかりとした座席と車輪がある電動車椅子なら、転倒の恐怖心から解放されると考えたのです。

よく「電動車椅子に乗ると、見える世界がガラリと広がる」と言われることがあります。ただ、僕個人の正直な体験談を言えば、劇的に世界が変わったかというと「いまいち実感が湧かないな」という部分もありました。劇的な変化というよりは、日々の生活の中での「移動の負担が楽になったこと」の積み重ねこそが、僕にとっての大きな収穫でした。

中学1年生:初めて相棒になった「簡易型電動車椅子」

そんな僕が中学部1年生の時に、最初に出会ったのが「簡易型電動車椅子」です。

これは、ヤマハ発動機が開発した電動ユニットを搭載したものです。見た目は一般的な手動の車椅子とほぼ同じですが、後ろのホイール部分にモーターが内蔵されており、バッテリーの力で自走できる仕組みになっています。

この簡易型電動車椅子を使い始めて、外への買い物や天気の良い日の散歩など、気軽に外出ができるようになりました。実際に使ってみて感じた、簡易型ならではの強みは以下の2点です。

  • 周囲の人に介助(車椅子を押して)してもらうのが比較的ラクであること
  • 折りたたんで持ち運びができること

特に持ち運びの面では、大きめのワンボックスカーであれば、車椅子を折りたたんで後ろのトランクスペースにすっぽりと積むことができました。家族や周囲のサポートを受けながら、「車で遠出して、目的地で電動車椅子に乗り換えて移動する」というアクティブなライフスタイルを叶えてくれたのが、この簡易型でした。

高等部3年生:快適性を求めて「大型電動車椅子」へ

簡易型とともに中学・高校生活を過ごし、高等部の3年生になった頃、僕は新たな選択をすることになります。「もっとクッション性が高くて大きい電動車椅子にすれば、今よりも腰が痛くならず、もっと外に出やすくなるのではないか」と考えたのです。

そうして、自分の体に合わせた「大型(オーダーメイド)の電動車椅子」を新しく作ってもらい、乗り換えることにしました。

新しく届いた大型電動車椅子は、簡易型とは比べものにならないほどの重厚感と安定感がありました。 実際に外を走ってみると、その走破性には感動しました。簡易型だとヒヤッとするような道路の溝があっても、前輪がはまることなくグイグイ進んでくれます。タイヤ自体が大きいので、多少の段差やガタガタ道でもお構いなし。「これならどこへでも行ける!」と、とても頼もしく感じたのを覚えています。

実際に暮らしてみて分かった「大型」の盲点

しかし、しばらく生活の中で使い続けていくうちに、僕の体の特性特有の「盲点」が見えてきました。

僕は「痙直(けいちょく)型」の脳性麻痺です。このタイプの特徴として、自分の意思とは関係なく、体にキュッと強い緊張(こわばり)が入ってしまうことがあります。体への緊張が入ると、手元のジョイスティックをうまく操作できず、思った方向に進めなくなってしまうのです。

自分で操作が難しくなった時は、電動モードを手動モードに切り替えて、近くにいる方に後ろから押してもらう(介助してもらう)必要があります。しかし、大型電動車椅子は本体そのものが非常に重く、がっしりしているため、「介助者の方が力一杯押しても、重くて移動させるのが本当に大変である」という問題に直面しました。

さらに、車体が大きいがゆえに、街中のお店や公共の場所で「入り口が狭くて中に入りづらい」という外出先での制限も増えてしまいました。

まとめ:失敗から学んだ「自分にベストな車椅子」の選び方

大型電動車椅子のメリットもたくさんありましたが、最終的に僕はどうしたかというと、もう一度「簡易型電動車椅子」を新しく作り直してもらうことにしました。

「せっかく作ったのにもったいない」と思われるかもしれませんが、僕にとっては重要な決断でした。自分の体の緊張の度合いや、操作できなくなった時に周りの方に介助してもらう頻度をトータルで考えた時、僕の生活スタイルには「軽くて扱いやすい簡易型」の方が圧倒的に便利で合っている、と身をもって痛感したからです。

この一連の経験から、僕は大切なことを学びました。

毎日使うもの、そして本当に自分に必要なものを選ぶときは、単に「性能が良さそうだから」「楽そうだから」という理由だけで決めてはいけません。「今の自分の生活環境(誰がどのようにサポートしてくれるか)」や「自分の体のリアルな状態(緊張の有無や操作性)」をしっかりと見つめ直した上で、総合的に種類を選択するべきだということです。

一見すると、大型を作ってまた戻したことは遠回りのように見えるかもしれません。しかし、両方の良さと弱点を知ることができたのは、僕にとって本当に「良い経験」になりました。

電動車椅子は、僕たちの足であり、生活を共にする大切なパートナーです。これから電動車椅子の購入や乗り換えを考えている方、またそのご家族にとって、僕のこの失敗と気づきの体験談が、少しでも参考になれば嬉しいです。

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