脳性まひ(Cerebral Palsy:CP)は、出産前後に生じた脳の損傷が原因で、運動機能や姿勢に永続的な影響が残る状態を指します。しかし、ひと口に脳性まひと言っても、現れる症状や日常生活への影響は一人ひとり大きく異なります。
今回は、脳性まひの当事者であるぼくヒロヤスの経験や視点を交えながら、主な運動機能の症状やそれ以外の随伴症状、そして当事者が本当に必要としている支援について分かりやすくこの記事に書いていこうと思います。
脳性まひの症状は人それぞれ!多様な状態の理解
脳性まひの症状は、たくさんあって、一人ひとりの状態によって日常生活の介助が必要な部分が変わってきます。 例えば、軽度の方であれば身の回りのことをすべて自分で行い、一般的な社会生活を問題なく送ることができます。 その一方で、移動に電動車いすを必要とするものの、少しのサポートがあれば食事や会話を楽しめるケースもあります。 さらに重度の場合になると、人工呼吸器の装着や痰の吸引といった、24時間体制の医療的ケアを必要とする方も少なくありません。
このように、同じ脳性まひという診断であっても状態は十人十色であるという事実を認識することが、適切な理解と支援に向けた大切な第一歩となります。
脳性まひに見られる主な運動機能の4つの特徴
脳性まひの当事者に多く見られる代表的な運動機能の症状として、主に次の4つの特徴が挙げられます。
筋肉の緊張異常(筋緊張の亢進)
簡単に言えば、筋肉に過剰な力が入って硬くなってしまう状態です。体を動かそうとしていないときでも、、筋肉が勝手に反応してしまいます。この状態を「筋緊張の亢進」と医療用語では表現されています。この筋緊張の度合いは、その日の体調や疲労度、精神的な緊張状態によって変化するため、日々の動作のしやすさや生活リズムに直接影響を与えます。
運動発達の遅れ
首のすわり、寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ちといった、赤ちゃんの時に起きる運動機能の進み具合が、他の子どもたちに比べてゆっくりと進む傾向があります。発達のペースには個人差がありますが、特に運動領域においては段階を踏むために時間が必要なことが多くなります。
手先の細かい動の苦手さ「巧緻性」
手の指先を使った繊細なコントロールが必要な作業、 つまり、器用に手の指先などを使うこと専門用語的に言えば巧緻性(こうちせい)が必要な動作が難しくなります。具体的には、小さな物を正確につまむ、洋服のボタンをかける、靴ひもを結ぶといった日常生活の細かな動作が苦手になりやすく、できるようになるまで、時間がかかることが多くあります。
運動機能だけではない!知っておきたい随伴症状
脳性まひの影響は、手足や体幹の運動機能だけではありません。脳の損傷部位や範囲に応じて、以下のような様々な症状を併発することがあります。
コミュニケーションや感覚の特性
言葉を話し始める時期が遅れたり、発音が不明瞭になったりすることで、意思疎通に課題が生じる言語障害が見られることがあります。また、特定の音や刺激に対して感覚が過敏であったり、突然の大きな音に過剰に驚いてしまったりする感覚統合の特性を持つ当事者も少なくありません。
その他の主な併発症状
これら以外にも、知的な発達がゆっくり進む知的障害、視覚や聴覚の障害、けいれん発作を伴うてんかん、食べ物をうまく噛んで安全に飲み込むことが難しくなる嚥下障害などが挙げられます。 ただし、運動障害の重さと知的障害の有無や程度は必ずしも比例するわけではなく、身体の障害が重くても知的な遅れがないケースも多々あります。
まとめ:一人ひとりの個性に合わせたオーダーメイドの支援を
脳性まひの症状は、運動機能の程度から感覚的な特性、併発する症状の組み合わせまで、一人として同じ状態の人はいません。 だからこそ、私たち当事者が社会に望むのは、マニュアルに沿った一律の対応ではなく、それぞれの個性とニーズに寄り添ったオーダーメイドの温かい支援です。 この記事が脳性まひへの理解を深めるきっかけとなり、社会との温かい架け橋になることを願っています。もし周囲に脳性まひの方がいらっしゃるときは、その多様性に目を向け、本人が必要とする適切な手助けを心がけてみてください。
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